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更新日:2023年6月7日

令和5年度施政方針

はじめに

令和5年第1回宇検村議会定例会の開会にあたり、村政運営に関する私の基本姿勢と所信の一端を申し上げ村議会議員並びに村民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

私は先の村長選挙において、村民の信任を得て無投票で当選させていただきました。村民の皆様の期待の大きさに身の引き締まる思いであります。
これまで所管の業務や災害対応等を通して職責の重さを日々感じながら、村民の生命、財産、安全・安心な生活を守るため、職員と共に村政運営に取り組んでまいりました。
議員並びに村民の皆様には、ご理解ご協力を賜りましたことに心から感謝申し上げます。

私は「さらに元気な村づくり」を基本理念に2期目は「宇検村(シマ)らしさ全開!!」を掲げ、「稼げる産業の振興」、「快適な生活環境」、「健やかな暮らし」、「広がるつながり」、「心豊かな人づくり」を柱として村議会議員並びに村民の皆様のご理解をいただきながら、村民の声に耳を傾け透明性がありスピード感のある村政運営を行い、村政の発展に向け全力で邁進することを改めてお誓い申し上げます。

初めに、政府は感染症法上の位置づけについて、大型連休明けの5月8日に現行の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針を固めました。
感染拡大から4年目を迎える中、社会経済活動の大幅な緩和につながる転換点となると発表し、今後の感染対策について、専門家有志の会合で「政府の要請に基づく一律の対策から個人や集団が主体的に選択することとなる」との見解を示しています。
本村としましても、村民の皆様をはじめ、関係業界のご理解ご協力と冷静な行動により、感染予防を徹底しながら安心できる日々の生活を守っていきましょう。

今年度の施政方針は、私が公約した五つの柱と第6次宇検村総合振興計画の基本構想に掲げた六つの基本方針を軸に、基本的な考え方を説明させていただきます。

基本方針1
「きらりと光る稼げる産業を育むむらづくり」

持続可能な農林業の振興

農業の振興については、村の重点振興作物たんかんについて生産組織の育成を前提に新技術の導入による早期成園・高単収化の観点から、栽培管理の実証を行いながら現在の生産基盤の維持・拡大を目指し、専門家による巡回指導や新規就業農家等に対し関係機関と連携を取りながら栽培管理講習会等を開催してまいります。

また、令和5年度も引き続きたんかんジュース「濃いに恋して100%」の製造・販売を行うと共にマンゴーとパッションフルーツのブランド確立へ向けた村独自でデザインした発送用ダンボール箱を利用したふるさと納税の返礼品の発送、「ケンムンの館」等への直売所と連携し、QRコードやキャッシュレス決済の導入の販売促進活動の促進を図り、昨年同様にJAあまみと県農政普及課から技術指導を受け選果場利用の周知、組合加入のメリットを農家に伝えていきながらたんかんの委託選果手数料の助成、委託選果を利用したたんかんに対して村独自でデザインした発送用ダンボール箱の配布やブランド確立協力金の助成を行い、ブランド支援を拡充して本村のPR材料として有効活用してまいります。

パッションフルーツと露地野菜につきましても、生産者への苗木の購入助成などの助成を行い生産安定に向けた取組み推進と農業用パイプハウスのリース事業を引き続きを実施し、新規就農者や担い手の育成、生産面積の規模拡大を目指してまいります。

また、「鹿児島の農林水産物認証制度・K-GAP」につきましてはマンゴー、トマト、採卵鶏の経営体が取得しており、普及指導員よる現地指導、県域での生産者を対象としたGAP推進セミナー等にも積極的に参加を促し、消費者・流通関係者のGAPの認知度向上にも努めてまいります。

サトウキビ振興につきましては、元気の出る公社による遊休農地解消対策の一環としてのほか各集落の生産組合による栽培面積の拡大、大型農業機械の導入による植え付けから収穫までを機械化し、農家の労力軽減を図りつつ生産奨励金等の助成を引き続き行ってまいります。

畜産振興につきましては、令和4年度開催されました「第12回全国和牛能力共進大会」において鹿児島県代表の出品牛が2大会連続の「和牛日本一」の栄冠に輝いたことは本村の畜産業農家の更なる生産意欲向上に繋がるものと期待しております。
また、生産牛を終了した母牛が再度肥育して「マザービーフ」として商品化され学校給食等へも提供されるなど今後の展開が期待されます。
村としましても、巡回指導や研修会を通して飼養管理技術や受胎率の向上、防疫体制を徹底し生産向上及び労働軽減を図ってまいります。

現在、湯湾干拓の試験圃場にて新規品目、シャインマスカット、バニラ、西洋野菜等の試験栽培の他令和5年度新たに日本ソバの検証を計画しております。
また、風当たりの厳しい農地などの条件不利地での栽培に適した品目の検討を行い、新たな特産品の掘り起こしにも取り組んでまいります。

令和4年度より元気の出る公社の体制を見直し、村民の要請に迅速に対応できるよう社員を増員し遊休農地の解消も積極的に進めてまいりました。
令和5年度も引き続き、農業基盤の確立と村民の農業所得の向上を図ってまいります。

今後農業者の減少、遊休農地の拡大で農地の適正利用が懸念される中、元気の出る公社と農家など関係機関と連携を図りサトウキビやたんかんの植え付けを引き続き行い農地が利用されやすくなるよう努めてまいります。

鳥獣被害対策としましては、依然としてイノシシによる農作物への被害が確認されており、防止対策として個人等で行った鳥獣被害防止用資材購入の一部助成、及び鳥獣被害対策実施隊による被害軽減活動も継続してまいります。
カラス被害につきましては、現在1基設置している捕獲檻と移動式の捕獲機を利用しながら被害軽減に努めてまいります。

また、令和5年度より新規採択事業として須古地区の農道の舗装を行い、果樹や野菜類等の生産性、品質類の改善を図り農家の安定した経営の向上に取り組んでまいります。

林業の振興につきましては、世界自然遺産登録後の環境に配慮した伐採・森林整備・緑化の推進を行い緑の募金の推進活動として田検小学校緑の少年団によるコマ打ち体験、各学校への花の苗木の配布など環境緑化を推進してまいります。
また、森林環境贈与税を活用したICT技術の導入による森林調査を行い、森林環境保全並びに森林資源の管理にも努めてまいります。

焼内の海で輝く活力ある水産業の振興

水産業の振興につきましては、養殖業は本村の主要産業であり重要な雇用創出の場にもなっております。
今後も引き続き村漁協又は各養殖業者と連携を取り、農林水産物等輸送コスト支援事業や離島漁業再生支援事業、サンゴ礁保全対策事業などを活用し漁場の生産力向上を図るための取組を行ってまいります。

また、地元漁家に対しましても、漁場の環境整備・漁業就業者の確保、担い手の育成、令和4年度策定した「第2期浜の活力再生プラン」を基に所得向上を図るため、「ケンムンの館」への出荷・販売体制の見直しや充実を村漁協と一体となり取り組んでまいります。
漁港整備については、芦検漁港(本港)の施設用地舗装工事を行います。

また、宇検漁港は海岸保全施設の長寿命化計画に基づき老朽化対策工事を行い、事前に予防保全を図りながら施設の機能回復整備を行ってまいります。

河川事業につきましては、引続き河川浚渫工事を実施いたします。令和5年度は平田地区山田川と芦検地区大良川を計画しております。

地域の連携が育む商工業の振興

商工業の振興につきましては、経営者の高齢化や後継者不足により商店数も減少しており、今後も村商工会や地元商店と連携し、村内での購買意欲を促すための経営指導や地元優先の買物を推奨し経営基盤の強化を図るため「やけうちどんと券」についても継続してまいります。

また、農林水産物輸送コスト支援事業につきましては、奄美群島振興交付金を活用した農林水産物や黒糖焼酎等加工品の輸送費補助を継続してまいります。

奄美の自然と歴史を伝える観光振興

観光産業の振興が村民の生活環境の負担とならないように住民の意識調査を行い、村民自らが積極的に参画できる観光振興を図ることを目的とした宇検村観光基本計画が今月末に完成予定となっています。
村民総意の観光計画書は村全体での観光受け入れ体制を構築することとなり、観光者と地元住民も観光や環境保全への意識の醸成が図られるものと期待しております。
令和5年度はこの基本計画書をもとに、観光交流拠点施設「ケンムンの館」をプラットフォームとした観光組織の適正化を図り、観光対象者のターゲット層を明確化した上で観光メニューの造成や交流人口・関係人口増に向けた取り組みを行ってまいります。

観光交流拠点施設「ケンムンの館」がオープンして1年、観光総合窓口やくつろぎコーナー、直売所の「うけん市場」、グリーンスローモビリティ運行等順調に運営されております。周辺の駐車場整備も令和5年3月末完了を予定し、路線バスの停留所としても運用されることになります。
観光・物産における総合的な案内及び情報発信や、観光客を迎える観光振興の中心となる施設にふさわしい場所として更なる機能拡充を図ってまいります。
また、観光の在り方を近隣町村と共有し、奄美全体として資源を積極的・戦略的に活用した一体的な取り組みを推進します。滞在型サイクルツーリズムや体験型観光、修学旅行や卒業旅行など、それぞれのニーズに対応した観光ルートの開発に取り組んでまいります。
人流の増大が環境問題とならないようにサステナブルツーリズム(持続可能な観光)の概念を取り入れ、保全と利用のバランスの取れた観光を推奨し世界遺産登録地の魅力を効果的に発信してまいります。

基本方針2
「快適な生活を支えるむらづくり」

合理的な土地利用の推進

令和5年度は地域住民と村が知恵を出し合い「地域計画」を策定し、地域の将来像や課題の解決を実現するための検討を行い農地の有効活用を図るため、農業委員や農地利用最適化推進委員を中心に農地中間管理機構へ農地の情報提供を継続して行い、農地の有効活用に努めるとともに「多面的機能支払交付金」を活用し村内各集落の環境保全を進めてまいります。

農地防災関連として、近年頻発化、激甚化している豪雨、台風等により湯湾干拓地内にある遊水地等の貯水能力の確保を図るため、緊急浚渫推進事業債を活用し湯湾干拓地内の蓄積土を除去し干拓地内の貯水機能の回復を行ってまいります。

令和5年度の地籍調査箇所につきましては、令和4年度に引き続き芦検地区調査を推進してまいります。
また、土地所有者等の高齢化が進み、現地での立会いや測量作業が負担になることから、事故防止の観点からリモートセンシングによる航空レーザー測量の新技術を導入し、地籍調査事業の大幅な効率化と迅速化の向上を図ってまいります。

交流を促進する交通基盤の整備

国の令和3年度から令和7年度までの第5次5カ年計画では、加速化するインフラの老朽化に対応するためインフラを国民が持つ資産として捉え、整備・維持管理・利活用の各段階において創意工夫を凝らした取組を実施すると位置付けております。
本村も地理的条件を踏まえながら危険箇所の解消やインフラの長寿命化を図るため、地域の実情に則した整備に努めてまいります。

まず、県道路整備につきましては、利便性の向上及び災害に強い道づくりを目指し県道曽津高崎線の平田工区の改良事業を継続してまいります。
今後も佐念集落からタエン浜間の道路改良工事、また、阿室集落から屋鈍集落間の災害時における集落の孤立を防ぐため、災害リスク調査結果により災害防除事業等で整備を行う予定であります。

湯湾新村線の赤土山工区につきましては、世界自然遺産登録地であるため、環境への配慮・事業費が膨大になることと事業の長期化が課題となっておりますが、奄美大島南部地域の活性化と地域住民の安心・安全の確保及び希少動物保護の観点からも、新たなルートとなるトンネル化の検討も含めた自然環境における生態系への配慮と生活基盤道路としての位置付けに則した早期の調査並びに計画策定に取組んでいただくことを県及び関係機関に継続して要望をしてまいります。

長年道路の拡幅要望のある芦検伊仁トンネル先の道路狭小部分につきましては、用地交渉が整わず道路拡幅の実現に至っておりませんが、世界自然遺産登録以降、交通量も増えてきておりますので住民の要望実現に向け取り組んでまいります。

村道整備につきましては、市町村間の観光振興と災害時の迂回路としての機能も図れるよう国庫補助事業で宇検船越線・屋鈍曽津高崎線の改良工事を継続して整備いたします。

また、老朽化した施設の長寿命化を図るため、赤土山線・田検名音線の舗装、及び安全施設等の維持補修工事または橋梁点検結果から修繕・更新または、撤去を検討し、計画的に整備してまいります。

村単道路整備につきましては、通学路や集落民の安全確保を図るため宇検1号線・湯湾中央線の区画線設置工事、避難時の危険箇所排除のために芦検今里線の法面保護・路肩補修工事を実施してまいります。

港湾整備につきましては、継続して湯湾港(須古地区)の老朽化した岸壁補修工事を行います。名柄港(海岸)につきましても、既設護岸の嵩上げ補修工事を進め、機能回復を図り長寿命化につなげてまいります。

公共機関の維持と利便性の向上

高校生通学バス助成金につきましては、定住及びU・Iターン者の促進を図るため、また生活に根差した地域公共機関利用促進を図るため帰省等に係るバス利用料及び通学バス利用料助成を今後も実施してまいります。
令和5年度からは、これまでの定期券等購入方法に加え、保護者・利用者の負担軽減を図るためにコロナウイルス感染拡大防止の観点から非接触での購入を可能とするスマートフォンを利用したアプリ版通学定期券等の購入を導入してまいります。

快適な生活をつくる住環境の整備

公営住宅の整備につきましては、交付金事業の基本となる長寿命化計画に則して修繕・改善工事を計画的に実施し住環境の向上に努めてまいります。令和5年度は田検団地を整備いたします。

近年問題となっている空き家対策につきましては、防災・衛生・景観などの様々な面において周辺環境に悪影響をおよぼしている物件を対象に、宇検村危険廃屋解体撤去補助制度の導入で解体撤去の促進を行っているところであります。令和5年度も引き続き老朽化が進み放置された物件の対策に取り組み、さらには定住促進空き家活用事業で各集落に点在する有効活用が可能と判断される空き家を対象に整備を行い、住居不足の解消、定住の促進に努めていく計画であります。

良質で衛生的な生活環境づくり

生活ごみの減量化、リサイクルの推進を図るために、令和5年度から家庭用生ごみ処理機の購入補助を実施してまいります。
合併浄化槽設置の推進につきましては、生活排水による公共水域の水質汚染を防止するため引き続き国・県の補助事業も活用して、し尿と雑排水を合わせて処理する合併浄化槽の設置促進に取り組んでまいります。

簡易水道事業につきましては、前年度に引き続き湯湾地区の本管布設工事及び湯湾・須古・石良地内の宅内引込み工事を行い、安全で安心した生活用水の供給に努めてまいります。

農業集落排水事業につきましては、平成29年度から機能強化更新事業で順次整備しておりますが、今年度は芦検地区機械設備及び電気設備等の更新を実施し、次年度以降に向けた地区の統廃合等の検討を行ってまいります。

安心・安全な地域社会づくり

自然災害時の被害発生を軽減するため、河川護岸等の整備も柔軟に対応したいと考えております。

村内県道の維持管理につきましては、権限移譲交付金で除草、路傍樹管理を行ってまいります。

村道、林道、農道につきましては、元気の出る公社と民間事業者に委託し、計画的に適正な維持管理作業を行ってまいります。

その他の県営事業につきましては、急傾斜地崩壊対策事業で湯湾下朝戸地区、芦検池城地区、久志1地区を継続事業で整備してまいります。

砂防事業につきましては、久志川、芦検脇田川、湯湾川を継続事業で整備してまいります。

村民が安心して暮らせる村づくりは、最も重要な施策の基本とするものであります。
過去の台風や昨年のトンガ沖海底火山噴火による津波警報での教訓から、住民への情報発信のために防災ラジオのPRと台風接近時等にエフエムうけんへのチャンネル設定を呼びかけております。
併せて情報の受信につきましては、携帯電話の不感地域対応において県や携帯キャリアとも連携しながら進めており、最善の対策を検討中であります。
また、教訓から避難の支援につきましても、自主防災組織の充実と普段からの避難計画の重要さを実感し現在、鹿児島大学と個別避難計画の作成を進めております。今後もより実態に則した避難計画の研修も行ってまいります。

地域の自主防災につきましては、住民の意識向上が最も大切であり、今年度の防災士育成事業の効果により自主防災組織の充実と地域防災力が高まることが期待されます。
今後は登録された防災士の研修を継続して行ってまいります。
そのほか、災害対応、防災対策には消防職員、団員の統率のとれた体制が必須であり、今後も資質向上のための研修受講をより充実かつ積極的に行ってまいります。

基本方針3
「魅力あふれる「人と自然」が調和するむらづくり」

豊かな自然環境を次代につなぐ地域社会

今年は奄美群島が悲願の日本復帰を果たしてから70周年の節目の年となります。この間、世界自然遺産登録もされ、あらためて自然と共に暮らしていた先人たちの想いや平和の尊さを見つめなおし、豊かな自然、個性的な文化など他の地域にはない魅力をアピールしながら今後の地域の成長と発展に繋げてまいります。

本村は令和4年3月にゼロカーボンシティ宣言を行い、「2050年までに二酸化炭素排出ゼロ」を、目標とすることを表明いたしました。
そのためには、宇検村の地域特性に応じた温暖化対策や再生可能エネルギー設備の導入が不可欠であります。
現在、太陽光発電と蓄電池の導入や公用車のEV化、バイオガスプラントの導入による地域資源循環型の再エネ利用が展開されるため国の補助事業の「地域脱炭素移行・再エネ推進事業計画」を申請しております。
引き続き、住民の暮らしの向上を実現しながら、脱炭素に向かう取り組みを民間企業と連携を取りながら推進してまいります。
奄美大島にだけ生息するリュウキュウアユの種の保存や、盗掘、盗採防止のパトロールや外来種の駆除活動、サンゴ礁の保全活動等を引き続き行い、世界自然遺産保護取り組みに努めてまいります。

ゴミの不法投棄対策につきましては、村内の林道や主要道路沿いの山裾など年間を通じてパトロールを行い、注意喚起の看板の設置及びチラシを配布し生活環境の保全に努めてまいります。

海岸漂着物対策事業につきましては、年間を通して焼内湾で海岸漂着ゴミが発生しているため、引き続き国の補助事業を活用し海岸の環境保全に努めてまいります。

野良猫TNR事業につきましては、今後も希少動植物を守るために野良猫TNR事業を実施し、野良猫の減少を目的とした事業を推進してまいります。
飼い猫につきましては、適正飼養、動物愛護の意識の向上、また地域生活環境の向上並びに自然環境及び生態系の保全を図ることを目的とした不妊手術やマイクロチップ装置の助成を継続し、村内のノネコ・野良猫の発生源対策に努めてまいります。

村の宝である人と自然が輝く交流

ふるさと納税につきましては、納税者の「志」に応える施策に活かしていくことにより、納税者と宇検村の関係をしっかりと築いていけるよう事業の充実を図ってまいります。
引き続き宇検村を応援したい、宇検村に貢献したいと思っていただけるように、今後も宇検村の魅力を発信してまいります。
本村出身者や二世・三世の方々が、郷土や育った「ふるさと宇検村」への回帰の契機となるよう宇検村への納税を選択し、離れていても村づくりへの参加意識が高まるような関係を繫いでいけるものだと考えております。

令和5年度第14回全国離島交流中学生野球大会が奄美大島で開催され、宇検村野球場も大会会場となっております。
関係団体と連携しながら全国の離島の子どもたちが夢と希望がもてる大会となるよう、受け入れ態勢を充実させて取り組んでまいります。
今年は、宇検村民が初めてブラジルへ渡ってから105年目を迎えます。時を経て二世・三世の方々がほとんどですが、郷土愛を持ち、宇検村とのルーツを大切にされながらブラジルでご活躍されています。
令和4年度から宇検村出身の文岡セルジオ正樹さんがブラジル鹿児島県人会の会長に就任され、8月に開催される記念式典の案内のために来村されました。
塩田鹿児島県知事をはじめ県内市町村長と記念式典に出席し、移民者との絆が風化しないよう今後も交流を深めブラジル移民の歴史を伝え、絆を繋いでまいります。

奄美大島は日本最大の「サシバ」の越冬地で中継地でもあります。宇検村は昨年「国際サシバサミット」に加盟いたしました。
サシバサミットをとおしてサシバの保護や生息する自然環境の保全、更にはサシバが繋ぐ交流へと発展するよう取り組んでまいります。

基本方針4
「健やかでぬくもりのある支えあいのむらづくり」

みんなで支えあう地域福祉の充実

地域支援事業につきましては、村民主体の介護予防活動である「いきいきどぅくさ体操」、サポート運営型の「趣味活動クラブ」などの支援を行い、村民自らが介護予防、生きがい、支えあいに取り組む地域づくりを目指してまいります。

介護保健事業につきましては、令和5年度は第9期介護保険事業計画の見直しの年度となります。3年間の実情を踏まえ、介護保険制度の理念に基づき地域包括ケアシステムの推進を図ってまいります。
また、地域支えあいグループポイント事業、高齢者元気度アップポイント事業等により高齢者の交流の場を作り、高齢者の介護予防を推進いたします。

健康で安心して暮らせる予防・医療の充実

令和2年から世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症ですが、今年5月8日から新型コロナウイルス感染症は、感染症法「2類相当」から「5類」へと位置づけられることとなっております。感染対策につきましては、国や県による支援措置などの対策と連動しながら感染防止対策をしっかりと講じるとともに、検査体制の確保や関係機関とともに取り組み、村民の皆様の安心と安全が図られるよう引き続き新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいります。
保健事業につきましては、「いきいき健康うけん21」「国保データヘルス計画」「高齢者データヘルス計画」に則し、引き続き本村の健康課題である脳卒中対策を推進してまいります。
また、地域・職域・学域の連携による健康づくりの推進を図ってまいります。令和4年度に実施した住民調査結果を基に、令和5年度中に「第2期いきいき健康うけん21」の策定に努め、国保事業、高齢者の保健事業と介護予防事業を一体的に実施し、村民の健康寿命の延伸・生活の質の向上を目指してまいります。

国保施設事業につきましては、引き続き医師1名、看護師2名、事務2名の体制で週5日の診療にあたり、月に一度は小児科医の専門医の診療も計画し、村民が安心して暮らせる村づくりを目指してまいります。
また、現在診療所の建設に向け実施設計を委託しているところであります。
村民のライフステージをトータルでサポートし健康寿命を延ばすことを目的とし、日々の生活の中で健康・医療を実践する「コミュニケーションの場」としての建設を目指してまいります。

未来を育む子育て支援の充実

児童福祉につきましては、「第2期宇検村子ども・子育て支援事業計画」に示している「地域の心がつながり、みんなが育む玉黄金!誰もが笑顔になれるむらうけん」の基本理念のもと、地域全体における子育て家庭を支え、安心して育てられる環境づくりを推進いたします。また、開設2年目を迎えた放課後児童クラブも利用者が22名と増えており、これからも関係機関と協議を行い、ますます充実した活動ができるよう取り組んでまいります。また、出産祝い金や入学祝い金、子育て世帯への住宅家賃助成も継続して実施してまいります。
母子保健事業につきましては、健診や各種教室・相談会を通し、専門職による相談支援の充実を図り、安心して出産・子育てができるよう取り組んでまいります。特に妊娠期から出産・子育て期まで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型相談支援の充実を図ってまいります。
その一環として産婦人科・小児科オンライン相談を開設し、すべての妊産婦、子育て世帯、子どもへ一体的に相談支援を行う「こども家庭センター」の設置に向け、新たに子ども家庭支援員を配置し、児童福祉と母子保健の一体的な提供ができる体制を整えてまいります。

自分らしくを支える障がい者福祉の充実

障がい者福祉につきましては、前期までの計画を振り返り、実態や意向を踏まえた「第7期障がい福祉計画・第3期障がい児計画」の策定に向けて関係機関との連携を図ってまいります。すべての村民がかけがえのない個人として尊重されるものとし、社会参加する機会が確保される取組を行う事と共にきめ細やかな相談・支援を図ってまいります。

自立に向けた社会保障の充実

自殺対策につきましては、宇検村自殺対策計画「暮らしやすいむらづくり」を策定しており国・県の関係機関、村内の関係団体、地域の皆様の理解と協力のもと命に直結する重要な施策とし、自殺対策を支援する人材育成の強化のため「村民みんながゲートキーパー」を目指し、引き続き各種団体向けにゲートキーパー養成講座の開催に取り組んでまいります。

基本方針5
「ふるさとを愛し、未来へはばたく心豊かでたくましい人を育むむらづくり」

生きる力をはぐくむ学校教育の推進

令和5年度におきましては、今年度改訂されます「宇検村教育振興基本計画」に基づき「ふるさとを愛し、未来(あす)へはばたく、心豊かでたくましい人づくり」を教育行政推進の基本目標とし、その推進については「ふるさとの豊かな風土や教育的な伝統を生かし、ふるさとに立つ教育」を視点として引き続き取り組んでまいります。

学校教育におきましては、「生きる力を備えた元気な宇検村の子どもの育成」を目標とし、村内の児童生徒それぞれに密着した学習指導や道徳教育、生徒指導、人権教育、読書活動等を推進するとともに教育相談員・スクールソーシャルワーカーの活用や、いじめ防止基本計画に基づいた対策を推進してまいります。
また、児童生徒の健やかな成長のために授業や部活動、一校一運動の実践、食育など一層の充実を図り、学校給食の無償化及び各種大会出場への助成も引き続き継続してまいります。あわせて、防災・安全に関する指導の充実・危険予知・回避能力の育成・防災訓練等の実施・各教科における安全指導の充実にも努めてまいります。
なお、中学校の部活動につきましては、国の提言等を踏まえ土曜・日曜の活動を地域へ移行する準備を進めてまいります。

本村の児童生徒の学力は、今年1月に小学5年生、中学1・2年生を対象として実施された鹿児島学習定着度調査の結果において、小学校では国語・算数・理科、中学1年では国語・英語、中学2年では国語・社会・数学・理科・英語の全教科で県平均を上まわる状況でありました。しかし、児童生徒により個人差があることや思考力・判断力・表現力等の向上につきましては、依然として課題があります。
その課題解決のため、村教育研究会による教職員の研修会や各学校における校内研修会等を実施し、児童生徒の個に応じた指導や複式・少人数クラスでの指導を充実してまいります。
すでに整備されております「児童生徒一人1台のタブレット端末」を利用した情報活用能力などの向上も図ってまいります。

また、特別支援教育支援員による支援、英語教育小学校専科指導教員及び英語指導助手(ALT)の活用による外国語教育の充実、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録を機に開催されました「やけうちっ子環境学習・世界自然遺産博士講座」も引き続き取り組んでまいります。

令和4年度は新型コロナウイルス感染症患者が本村においても確認され、このような状況の中やむを得ず学校に登校できない児童生徒に学びの場を確保し、自宅学習など自主的に学習を促進するためタブレット端末の持ち帰りも進めております。

さらに学校における教職員の働き方改革を推進するため、令和4年度に校務支援システムを導入しました。今後、引き続き教職員の校務負担軽減を図ってまいります。
あわせて、施設の整備や点検補修、学校緑化に努めるとともに児童生徒減少対策については、名柄校区・阿室校区活性化対策委員会と連携を図りながら親子山村留学制度を継続して推進してまいります。

また、田検小中学校の共同調理場や各併設校の調理場の今後についてですが、「学校給食のあり方検討委員会」において検討協議の結果、建設候補地の選定と総合給食センター方式での整備を進めていく方向性を確認しております。
また、名柄校の給食室においては、昭和53年建設以降長年にわたり自校での給食提供を行ってまいりましたが、給食従事者の人材確保や施設の老朽化及び昨今の物価高騰を鑑み、令和5年度より田検小中共同調理場から給食を配送することといたしました。

宇検村振興育英基金につきましては、奨学金貸与事業を引き続き実施し必要に応じて学校教育、社会教育、文化、体育事業への助成なども検討してまいります。

また、児童生徒の健全育成事業につきましては、過去2年間コロナウイルス感染症で交流事業が実施できなかった宮城県七ヶ宿町との相互交流事業については、中学1・2年生を対象として令和4年度に再開したところでございます。5年度以降につきましては、中学校1年生を対象として引き続き相互交流事業を継続してまいります。

また、コロナ禍゚で休止していました沖縄県と宇検村の「平和交流事業」も、昨年8月からは近隣市町村も交え実施することができました。悲惨な戦争のことを学び学びながらも、打ち解けた子供たちの笑顔に改めて交流の大切さと平和の尊さを考えさせられました。
慰霊碑建立以来、沖縄県と対馬丸関係者が熱心に船越海岸を訪れ、当時を知る宇検集落や村の関係者との交流も年々広がりをみせております。
今後は、「対馬丸」事件の歴史を繋いでいくために、慰霊碑建立地の責務とし、受け入れるだけでなく相互に交流する取り組みも必要と考えており、幅広い年代で平和交流の輪が広がるよう取り組んでいく考えであります。

生涯学習推進体制の整備・充実

日頃から、宇検村を元気づけるために取組を行っております宇検村連合青年団の活動や、今後実施を予定しております「婚活イベント」や「集落支援事業」などの各種新規事業につきましても、支援していきたいと考えております。
さらに、継続的取組としまして、今後の児童生徒の成長を見据え、家庭教育や家庭教育学級の充実、PTA活動や子ども会、社会教育関係団体の活動の充実を図り、子育ての機運醸成に努めてまいります。さらに、村民が継続的に学ぶことのできる公民館講座や図書室などの充実を図り、村民の利用促進を図ってまいります。

特に、今年は「奄美群島日本復帰70周年」の年であり、先人たちの苦労や教訓をこれからの人づくり村づくりに生かすため学ぶ機会の提供などに努めてまいります。

人権啓発活動の推進については、各関係機関・団体等と連携を図りながら人権問題についての理解認識を深め、差別意識を解消し人権の尊重されるむらづくりに努め、特設人権相談所開設等、継続した人権啓発活動に取り組んでまいります。

多様なニーズに応える社会教育の充実

次に、社会教育と社会体育についてですが、「結いの心で生き生きと学ぶ活力ある宇検村民の育成」を目標として、令和5年度においては主に次の事業等に取り組んでまいります。
まず、平成30年度から業務を休止しておりました村誌「民俗編」の編纂業務につきまして、5年度から再開し令和9年度を完成の目標として取り組んでまいります。

次に、令和5年度は「かごしま国体」と「かごしま大会」が開催される年となっており、本村においても同大会を盛り上げるために、炬火リレーやデモンストレーション大会としての少年サッカー大会を開催いたします。

その他の事業では、中学3年生のテーブルマナー教室や茶道教室・新春書初め会・やけうちっ子体験チャレンジスクールや一般社団法人アスリートネットワーク「つなgo奄美大島」事業と連携したスポーツ教室の実施などについても引き続き実施をしてまいります。

健康づくりや仲間づくりを促進する生涯スポーツの推進

次に、生涯スポーツを通した健康づくりと仲間づくりを推進するため、村体育協会を中心とした推進体制の整備を進め、来年度、本村で開催される大島地区大会女子バレーボール競技と大島地区スポーツ少年団剣道競技の大会の運営については、各競技団体と連携を図りながら大会運営の準備を進めてまいります。
スポーツ少年団の健全育成、毎週月曜日夜間の体育館無料開放も継続してまいります。
さらに、スポーツ推進委員や関係団体などの協力を得ながら村内の社会体育施設の点検を実施し、事故防止に努めながら効果的な活用を進めてまいります。
あわせて高校生・大学生などのスポーツ合宿誘致についても引き続き推進いたします。

次代につなぐ地域文化及び芸術活動の振興

「地域文化及び芸術活動の振興」につきましては、今後も文化協会や公民館講座の講師の先生方と連携を図りながら、文化芸術活動の普及・振興に努めてまいります。
文化財保護につきましても、今年度「佐念モーヤ」の老朽化した看板を撤去し、新たな看板を設置いたしました。今後も有形・無形文化財についての保存・継承を推進いたします。

基本方針6
「村民とともに、力強い自治をつくるむらづくり」

行政の効率化

行政改革については、常に行政需要に則したサービスを提供していくことを第一に考えております。
令和2年4月新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言以降社会は一変し、同年12月25日「自治体DX(自治体デジタル・トランスフォーメーション)推進計画」が発表されました。
一変した社会の「新たな日常」の原動力として、デジタルを活用して制度や組織のあり方を変革し、多様な幸せが実現できる社会、誰ひとり取り残さない人に優しいデジタル化が示されました。
この計画実現のためには住民に身近な市町村の役割は極めて重要でありますので、村では新たに「自治体DX」担当部署を設け、デジタル社会の構築に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
行政手続きのオンライン化や住民のさまざまなニーズに応じた情報配信、村民広報など村民とのコミュニケーションツールの導入定着を図ってまいります。
そのためにも、職員としての資質向上を図るため、これまで以上に職員研修に力を入れ、人に優しいデジタル化を念頭に村民とのコミュニケーション向上に努めてまいります。

財政の健全化

財政につきましては、コロナ禍で先送りされていた国内需要も顕在化してきており、国の経済活動は徐々に正常化してきております。税収も昨年を4兆2千億円上回り、69兆4千億円を見込んで、国の予算は過去最高であった昨年を6兆7千億円上回り、5年連続で100兆円を超え114兆3千億円となっております。ウクライナ情勢の影響から物価高による消費の下振れが懸念されるも、社会の賃金上昇の動きと経済活動の正常化への期待から、全体として景気は回復傾向にあるものと捉えております。
村としましても、国の予算動向から地方交付税の増額を見込み、昨年を上回る予算編成を行っており、主に新規に診療所建設に係る予算や定住促進空き家活用事業、指定管理のケンムンの館や、元気の出る公社などの管理費の増額で観光面と定住促進、農業基盤づくりを特徴とした予算となっております。
一般会計当初予算においては、これまでの継続事業を始め新規事業を含めて対前年比9千万増の約33億円台で2.77%の増額予算となっております。
自治体の財政状況を示す指標の実質公債費比率は、9.3%から9.0%と前年度より改善され、将来負担比率も平成30年度決算から連続ゼロとなっております。また、起債の残高につきましては、3年度から4千8百万円減の37億8千万円と改善されており、今後も事業の優先順位をしっかり検討し、有利な措置の起債に努めながら各分野で連携を図り計画的に執行するよう努めてまいります。
また、特別会計につきましては、7会計総額12億4百77万2千円で主に国保施設、介護保険、後期高齢者会計で増額、前年度対比37.81%の増額予算になっております。主に国保施設の診療所建設に因るものであります。
簡易水道事業、農業集落排水事業、漁業集落排水事業の特別会計につきましては、令和6年度からの公営企業会計の法適化を前に会計処理体制を整え、法適化により経営を「見える化」しサービスの向上に努めてまいります。
改めて独立採算の原則のもと、使用料の衡平さを保つことへの村民の理解と施設運営に最大限配慮した節減の意識改革を図ってまいります。
これまでと同様、財政健全化を進めていくことは当然のことですが、新型コロナウイルス収束後の地域活性化と安心・安全な生活に資することを念頭に、村民に必要な予算は積極的に活用するとともに重要な自主財源である村税、使用料、手数料等につきましては、徴収率の向上を図り自主財源の確保に努めてまいります。
今年度以降の取り組みとして
今後の建設予定事業としましては、診療所の建て替え、防災会館の順次建て替え、給食センター建設及び役場庁舎建設等があります。建設にあたっては将来的に財政を圧迫することがないよう見極めながら事業を進めてまいります。

むすびに

以上、令和5年度の村政運営に対する所信と施策について概要を申し述べましたが、村政運営につきましては、これからも村に住み続けたい、行ってみたいといわれる村民の誇れる宇検村を目指し、社会の変化に合わせながら新しいことに挑戦するという意味の「ホップ、ステップ、チャレンジ」を合言葉に職員一丸となって取り組んでまいりますので、議会議員並びに村民の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和5年度の施政方針といたします。
村民の皆様、心をひとつに笑顔あふれる宇検村を築いていきましょう。
令和5年3月6日
宇検村長元山公知

お問い合わせ

総務課行政係

894-3392 鹿児島県大島郡宇検村湯湾915

電話番号:0997-67-2211

ファックス:0997-67-2912

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